インタビュー「inside OUT」〜生きているナレーター〜

インタビュー「inside OUT」〜生きているナレーター〜
ナレーターインタビュー「inside OUT」特別編
『2009年ナレーター業界を大窓王が斬る!』
混迷する経済とこれからのナレーター界について【前編】
2008年はアメリカ発の金融危機によって、100年に1度といわれる世界規模の大不況を迎えてその年を終えた。不況の津波は、年末にかけて本格的に日本に上陸しテレビ業界にとってもトヨタなど大手スポンサーが次々と『テレビ新聞雑誌ラジオの広告費、大幅削減』に乗り出した。メディアには連日、大手企業の人員削減や工場閉鎖のニュースが踊っている。
これは終わりのはじまりなのか。嵐が吹き荒れる経済状況の中、これからの日本はどうなるのか。そしてテレビ業界は?そして迎えた2009年私達ナレーターはこれからどうなるのか?
「それでも、ナレーターには活路があるはず!」
混迷する世相の中、強く語る人物がいる。ナレーター事務所ベルベットオフィス代表取締役であり、ナレータースクール「バーズ」の校長、『大窓王』こと義村透に取材した。
〜あけましておめでとうございます。いよいよ2009年が明けましたね。
(大窓王)読者のみなさんあけましておめでとうございます。今年もナレーターメルマガをよろしくお願いいたします。青息吐息で100回を迎え、今回はいつもとは違うテーマで101回を迎えたいと思います。
ホントは「100回記念」で、なにか特別なことをやるの、完全に忘れてたんだけどね(笑)
さて昨年2008年はテレビの流れや歴史を変える大きな変化がありました。その変化を受け継いで今年2009年は様々な試行錯誤が続いていくと思います。
〜早速ですが昨年2008年の「経済混乱」は、私たちにどういうことをもたらすのでしょうか?
(大窓王)一言で言えば「20世紀の終わり」と「21世へのパラダイムシフト(=枠組みの転換)」が起こっているということです。20世紀の終わりとは、金融資本主義と自動車産業、そしてアメリカに支えられてきた世紀が終焉を迎えるということ。そして21世紀の新たな概念への転換が起こるのではないかということです。今回の金融危機はその転換のスピードを加速することになります。
今年は急速な変化に直面する年になりそうですね。社会全体がその影響を受けるでしょうが、私達ナレーターに関することでいえば『既存の広告概念が崩壊し新しいパラダイムにシフト』していくことがあげられます。そしてその流れがTVの潮流を変え始めるだろうということ。
〜まずは「広告のありかたが変わる」ということをお聞きしたいのですが…
それは具体的にはどういうことなのでしょうか?
(大窓王)トヨタが2008年度秋に発表した、「広告費予算30%削減」がメディア界を震撼させました。当初は単に「営業成績の鈍化での経費削減」という意味で捉えられていました。
結果的にトヨタは急速な円高と世界的な自動車販売不振で上場以来初の営業赤字の見通しになるのですが・・・実は「広告費予算30%削減」というのは「新聞やテレビなどのマスメディア向け広告費」という但し書きが付いているのです。これは旧来の「20世紀型のメディア広告」からグーグル革命に代表される「21世紀型のデジタルメディア広告」への転換スピードを加速させることを意味しています。
〜「20世紀型のメディア広告」とはどういうことなんですか?
(大窓王)それはTV、新聞、雑誌、ラジオのマスコミ4大媒体を指します。
トヨタはこれらの広告費を費用対効果が薄いと判断したということです。旧来のメディアでは『1000万人に見せることで10万人が購買する』という広告スタイルです。1000万人の視聴率の広告費はいくらであると算定するわけです。もちろん1500万人分の視聴率をとる広告は、スポンサーにより高く売れる。ですからTVメディアは広告費を多くもらおうと視聴率競争に走る。単純化すればこのようなスタイルです
〜それでは「21世紀型のメディア広告」とは?
(大窓王)インターネット広告のことです。
それは商品に興味をもつ人『1万人にみせて1000人に買ってもらう』広告です。当然、広告費が大幅に抑えられ、より費用対効果の高いCMであるということ。そして興味のない人にとっては、ジャンクである広告の露出を抑えることができます。ジャンクメールやポストに無作為に投函されるチラシは社会的な迷惑ともいえますよね。すでにTVCMもデジタルビデオの普及で簡単に飛ばしながら見ることができる存在になってしまい、スポンサー側は以前から危惧していました。
〜そういえば「インターネット広告」を私のネット実体験でいうと、ショッピングサイト「アマゾン」などで買い物をすると、例えば海外ドラマDVDを一度買っただけで、「他に人気のある海外ドラマ」「主演俳優が出てる他の映画」など私の知らない情報までどんどん表示されていくんですね。これには「なぜ私の欲しいものがわかるのか?」とびっくりしたものの、やはり知らなかった関連商品を見ちゃうと、つい毎回買ってしまうんです(笑)
あの宣伝の仕方には、やはり「ワケ」があったんですね。
『1万人にみせて1000人に買ってもらう』とはこういう動きのことなのですね。
(大窓王)まさにその通りです。「欲しい人に、欲しいものを広告する」時代になってきたということです。ネットのプログラムにとある仕掛けがあるのでが、2011年のテレビのデジタル化でネット同様の仕掛けを取り入れていくことになるでしょうね。視聴層がよりセグメント化(細分化)されていき、自分が興味のある広告だけがTVCMとして流される。既存の視聴率から購買率が重視されるということです。 そしてそれが進めば、実際に購買した人の数によって支払われる広告料金へと向かうでしょう。こうした成果報酬型の新しい広告概念に、トヨタを始め多くの企業が一斉に追従し始めています。あ、もちろんスパッと切り替わるわけではなく当面の間は、新旧の手法が入り乱れての展開になるでしょうね。
〜広告概念の変化は分かりました。ではいまのテレビの現状はどうなっているのでしょうか?
(大窓王)まずTV界の潮流としては、昨年秋の改編で各局がゴールデンタイムに報道&ドキュメント番組を持ってきました。そして来年4月には、いくつかの局でゴールデンタイムのバラエティ&ドラマ枠を、すべて報道&ドキュメントにする動きも発表されています。これも実は、経済や社会に深く関わりがあるのですが・・・昨年の春の改編では「クイズ番組」の花盛りだったことを考えれば、方向の大転換と言えますね
〜そういえば報道ブームに先鞭をつけたテレビ朝日の『報道発ドキュメント宣言!』が、19時~20時台の放送で初回視聴率22%をとったことは、おおきく話題になりましたね。
(大窓王)視聴率について簡単に説明すれば、ゴールデンの打ち切り目安が10%、15%前後キープで長寿番組化、「25%を越えると時代が変わる」という感じですから、この数字は一挙に時代の流れが動いたことを感じましたね。
テレビの報道の変化は2年ほど前に日本テレビが新しい報道のスタイルとして「ニュースゼロ」をたちあげヒットさせたころから感じていました。ゼロのナレーター陣は、それまでの「報道のプロのナレーター」ではなく、まだ30代で報道界で若手である山崎優(やまざきまさる)くんが担当したり、またアトゥプロさんからは、ネイティブイングリッシュスピーカーでDJスタイルのユキ・ラインハートさんがキャスティングされるなど、これまでにはない斬新なキャスティングでのスタートでした。
視聴者も作り手も固定観念に縛られて、動きのとりづらかった報道界にあって、このキャスティングが理解できる人がいるかと不安もありましたが同時に「この番組がヒットすれば"報道の読み"が確実に変わるだろう」とも思っていました。あれほど格闘技の色が強かった田子千尋さんも、2008年秋からの報道のレギュラー「久米宏のテレビってやつは?!」をやってからは、報道&ドキュメント色が認知されはじめていますね。格闘技全盛期の5年前では考えられなかったキャスティングですね(笑)
〜「どうして”いま報道なのでしょうか?”」という質問をしたいのですが、紙面の都合で、前半は一旦ここまでとさせていただきますね(^_^;)続きは・・・→「2009年のナレーター大窓王が斬る!」【後編】を読む
※この「2009年ナレーター業界を大窓王が斬る!」はナレーターメルマガ2009年元旦号に掲載されました
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大窓王(おおまどおう)
大窓王=ナレーター事務所のベルベットオフィス代表取締役にしてスクールバーズ校長。義村透。
大学在学中より小劇場(東京壱組)のマネージメントに関わる。俳協入社。長らくその養成機関でプレーヤー達を見つめつづける。この経験でプレーヤーの生理を知ることによって独自のマネージメント理論が構築されていった。
1999年ナレーター事務所ベルベットオフィスを設立。ハンドルネームである<大窓王>名義で、メルマガや掲示板で理念を提示。
スクールバーズでは義村マネージメントの集大成を「営業論」としてアドバンスコースで展開している。
ナレーター事務所 ベルベットオフィス
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