インタビュー「inside OUT」〜生きているナレーター〜

インタビュー「inside OUT」〜生きているナレーター〜
ナレーターインタビュー「inside OUT」特別編
『2009年ナレーター業界を大窓王が斬る!』
混迷する経済とこれからのナレーター界について【後編】
【2009年ナレーター業界を大窓王が斬る 後編】
世界規模の金融危機によって2008年は、100年に1度といわれる大不況を迎えてその年を終えた。
テレビ業界にとっても大手スポンサーが次々と
『テレビ新聞雑誌ラジオの広告費、大幅削減』に乗り出す経済状況の中、これからの日本とテレビ業界の2009年を予想する。
「それでも、ナレーターには活路があるはず!」
混迷する世相の中、強く語る人物がいる。ナレーター事務所ベルベットオフィス代表取締役であり、ナレータースクール「バーズ」の校長、『大窓王』こと義村透への取材。【後編】。
【前編】に戻って読む→
〜どうしていま、「報道」なのでしょうか?
(大窓王)「人気女優の認知症」「東尋坊の命の番人」などを扱うことで、いつ我が身にふりかかるかわからない問題を知りたい方はたくさんいると思います。不況や年金、失業などの影響もあって社会的な不安が増していることも一つの要因でしょう。
そしてずいぶん前から言われていたことですが、そこには「お茶の間」の変化があります。
まずゴールデンタイムの広告ターゲットとしてのファミリー層が減ってきていることです。それは家族みんなで19時からTVを見る習慣がなくなってきたことなんです。
その要因として、テレビが「一家に一台」から「一人に一台」になって久しいこと。いまの時代は働き方も必ずしも9to5ではないこと。そしてテレビよりゲームやネットをする人達が増えたこと。YouTubeの誕生で、見たいテレビはネットでいつでも見れるようになりましたね。若い世代ではこうしたスタイルが浸透してきています。結果的に19時台にはパソコン、ゲーム文化のない中高年が、テレビの前に座っていることになる。
〜それはゴールデンタイムがなくなるということですか?
(大窓王)実質すでにそうなりつつありますよね。19-21時のゴールデンタイムで収益を上げるというスタイルはTV誕生以来の柱だったわけですが、それが崩壊しはじめたということです。また企業側もファミリー層という広告ターゲットが必ずしも商品購買に結びつかなくなってきていると認識しはじめてます。ゴールデンが数字がとりにくくなったことに加え、たとえゴールデンで数字をとっても高い料金で広告枠が売れなくなるという現象がおきています。先ほど申し上げたゴールデンタイムに帯で報道をやるというのは、19時のNHKニュースが好調であることも一つの要因ではあるのですが、まずは低予算で作ることが可能で、この時間帯の視聴層に合わせた編成であるといえます。
〜そうなるとテレビのこれからの動きはどうなるのでしょう?
(大窓王)スポンサーが欲する広告ターゲットに合わせてゴールデンタイムが、21時〜23時に移動し、その時間帯に予算を集中することになるようです。朝や日中、夕方帯ではすでに再放送枠となって予算の絞り込みが行われています。今の経済環境では当面、新ゴールデン枠以外は大胆に予算をカットしていくことになるでしょう。すでにプロデューサーの役割も、視聴率をとることより予算管理が重視されてきています。
23時以降は若手芸人達のバラエティー編成になりそうですね。深夜帯でヒットしている人気バラエティ番組「アメトーーク」「あらびき団」「やりすぎコージー」などは、わかる人にしかわからないようなマニアックなネタで突っ走っているのに、かなり認知度が高いですよね。広告ターゲットとして若い層に絞り込んだ番組は、深夜帯で増えていくことでしょう。
これからのメディアの急速な変化は予想されますが、そのままテレビがなくなるということまでは考えていません。ラジオはメディアの主役の座を降りて、かなりの時間がたちますが、生き続けています。たとえメディアの主役の座を譲ることがあっても、TVも長期的に生き続けていくメディアだと考えてはいます。
〜そんな中、我々ナレーターの運命はどうなるのでしょう?
(大窓王)私はナレーターの未来は楽観しています。先日、某テレビ局員とナレーターの役割について話していて、私のナレーター楽観説に膝を打って納得してくれました(笑)ポイントは『制作費の大幅な減少』にあるのです。
〜『制作費の大幅な減少』はナレーターにとっても深刻な問題ではないのでしょうか?
(大窓王)もちろんナレーターもまったく無関係とはいかないでしょう。それでもこの不況も追い風になることすらあると考えています。
世界規模の不況のなか、CMではすでに制作費を抑える傾向が始まってきています。かつてよく見た「世界的な絶景の中、高級車が悠然と走る姿を空撮でどーん」といった、高価な映像ではなく、CGを使っての比較的安価な映像が多くなっています。
こういった「低価格化」は番組制作の現場でも始まっています。例えば
・ロケの撮影回数を減らさなければいけなくなった。
・豪華なセットを作れない。
・経験の少ない新人のディレクターを使わなければいけなくなった。
などなど、必然的に映像のクオリティが落ちる傾向にあります。
そうなればなるほど、ナレーションは番組にとっての必須の要素になると云えます。
なぜなら映像で表現しきれなかった部分を簡単にうめることができるのはナレーションですからね。ナレーションまで削減していくと、番組のクオリティーの維持は到底できなくなるでしょう。低予算でナレーターの質まで落としてしまっている番組では、いかにもの安っぽいものになってますよね。ロケ費やセット費に比べてナレーターのギャラは安いモノでしょうからね(笑)作り手達は遅かれ早かれそれに気付くはずです。
また短期的には局アナがナレーションする傾向にあるとは思いますが、中期的には多様な表現を求めてナレーターの需要が増えると思います。過去の不況期でも一時的に局アナがナレーションを担当しても、やはりナレーターに戻ってきた歴史を繰り返していますから。ナレーションの上手い少数の局アナだけでは全ての番組を処理できませんしね。
〜そんな中、新人ナレーターが生きる道は、はたしてあるのでしょうか?一番心配な部分なんですが。
(大窓王)次世代の広告形態によって、より求められる表現がセグメント化されていく可能性があります。
これまで「大衆をつかめる読み手」がTVナレーションでのメインストリームでしたが、「絞り込んだ層に向けての表現」でも売れる可能性が広がるかもしれません。しかも番組の低予算化の時代は新人が入り込めるチャンスの時ともいえますね。
〜なるほど!2009の不況も場合によってはナレーターに追い風になる!と。
(大窓王)もちろん、簡単なことではありませんよ(笑)今回の不況は経済だけでなく社会にとってもかなりの痛手になるので、予想を超えた事態が起こるかも知れません。それでも今年は「変化の時代」であることは間違いありません。もしかしたら新人ナレーターにとって、チャンスが多い時代の到来ともいえます。それは次の来るべき変化をいち早く捉え、準備している者が制する時代であると言えます。
最後にスクールの講義でよく使う言葉ですが、この言葉をナレーターの皆さんに贈りたいと思います
『成功とは準備と機会の遭遇である』
P・F・ドラッカー
2009年それは経験したことのない新しい社会の誕生の年になるでしょう。
皆さんの活躍をお祈りしています。
大窓王(おおまどおう)
大窓王=ナレーター事務所のベルベットオフィス代表取締役にしてスクールバーズ校長。義村透。
大学在学中より小劇場(東京壱組)のマネージメントに関わる。俳協入社。長らくその養成機関でプレーヤー達を見つめつづける。この経験でプレーヤーの生理を知ることによって独自のマネージメント理論が構築されていった。
1999年ナレーター事務所ベルベットオフィスを設立。ハンドルネームである<大窓王>名義で、メルマガや掲示板で理念を提示。
スクールバーズでは義村マネージメントの集大成を「営業論」としてアドバンスコースで展開している。
ナレーター事務所 ベルベットオフィス
ナレーション掲示板 ナレーションの虎
スクールバーズ アドバンスコース
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